どうも、カタミチです。
今回は、AIプロジェクトの計画についてです。AIプロジェクトは、これまでのシステムインテグレーター的なシステム開発と異なり、アジャイル的なプロジェクトマネジメントを行う必要があります。
ということで、見ていきましょう。
AIプロジェクト進行の全体像
実際にAIそのものを開発するフェーズは、AIプロジェクト遂行における一部でしかなく、その前後のプロセスが重要になります。そうしたプロセスはいくつかのフレームワークや概念として体系化されています。
CRISP-DM(CRoss-Industry Standard Process for Data Mining)は、データマイニングのための産業横断型標準プロセスです。主に「ビジネスの理解」「データの理解」「データの準備」「モデリング」「評価」「展開」の6つから成ります。
MLOps(Machine Learning Operations)は、AIを本番環境で開発しながら運用するまでの概念です。「コンフィグレーション」「データ収集」「特徴量抽出」「データ確認」「コード」「分析ツール」「プロセス管理ツール」「計算リソース管理」「インフラの管理」「監視」などから成ります。なるほど、プロジェクトのフレームワークとしてはなかなか使えそうですね。もっと詳細に理解したいところです。
AIプロジェクトの進め方
さて、AIプロジェクトの進め方に入ります。まずは…
AIを適用するべきかを検討する
はい、これですね。何でもかんでもAIでやるのではなく、まずはAIを適用するべきかを検討する。具体的には2点。
1. そもそもAIを適用する必要があるのかを考察し、利活用した場合の利益計画を立てて投資判断を行う
2. ビジネス・技術上、組み込むべきデータのフィードバックの機構をどのようなものにするかを検討する
1については、短期の試算にとどまらず、初期のターゲットを定め、コストと推論精度のバランスを中長期で見ていく必要があります。まぁ、期間が長すぎるとビジネス的にNoが出るケースも多い気はしますが、いずれにせよ投資対効果ですかね。
2については、データのフィードバック機構をビジネス上も技術上も組み込むことができるか、という話ですね。初期から必要十分な推論精度を満たすことは稀であり、運用を継続しながら推論精度を上げていくことが現実的だ、という点は、説明を受ける経営サイドも理解しておかなければなりませんし、説得する側も抵抗にあうことは覚悟しておいたほうが良さそうです。また、推論精度の前提を100%と置くと多くの場合うまく行きません。実務上期待できる推論精度を前提として、どう活かすか?を検討することが重要です。
AIを適用した場合のプロセスを再設計する
AIを利活用する場合、BPR(Business Process Re-engineering)が発生します。仕事やってればよく聞く言葉ですね。業務のプロセスから見直さないと、単にAIを導入しても効果は薄い、もしくは逆効果になる、ということですね。学習の精度向上に応じてAIのサポート部分を増やしていくという考え方もする必要があります。
AIシステムの提供方法を決める
ここまで見てきて分かるとおり、AIシステムは従来のような「納品」という提供形態は向きません。AIを用いたシステムを開発する場合には、サービスとして提供し運用することが望ましいです。クラウド上でWebサービスとして提供する方式や、エッジデバイスにモデルをダウンロードして常に最新の状態となるように更新を続ける方式があります。
開発計画を策定する
AIの開発には、データを確認する段階、モデルを試作する段階、運用に向けた開発をする段階にフェーズを細かく区切ることが大切です。そのうえで、収集されたデータの中身や学習して得られたモデルの精度に応じて、柔軟に方針を修正できるような体制が望ましいです。適時適切なコミュニケーションをとって、プロジェクト管理することも必要に鳴ります。
プロジェクト体制を構築する
AIシステム開発では、開発段階から多岐にわたるスキルを保有する様々なステークホルダーを巻き込んだ体制づくりが必要となります。
ビジネス的な観点も踏まえて全体を把握・意思決定するマネージャー、システムを使う際のUI(User Interface)/UX(User eXperience)に関するデザイナー、AIモデルを開発するデータサイエンティスト、また、法的・倫理的な課題を検討するために、経営者、法務、経営企画、広報などとの連携も重要となります。
開発段階からプライバシー侵害の予防を指向する考え方としては、プライバシー・バイ・デザイン(Privace by Design、PbD)が提唱されています。また、セキュリティに配慮した、セキュリティ・バイ・デザイン(Security by Design)や、価値全般に配慮したバリュー・センシティブ・デザイン(Value sensitive design)などの用語も登場し、さまざまな設計思想として注目されています。
ということで
今回は、AIプロジェクトの組み方の話でした。個人的には、プロジェクトチームのイメージが湧いて、非常に良かったです。
ではまた。
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